曙太郎さん死去　『曙貴時代』築いた人気横綱を忍ぶ

大相撲の元横綱・曙太郎さんが4月上旬に心不全で亡くなっていたことが11日わかった。54歳だった。　

曙さん（本名:チャド・ジョージ・ハヘオ・ローウェン）は第64代横綱で、初の外国人力士の横綱として若貴兄弟と共に一時代を築いた。ハワイ州オワフ島出身で、同じくハワイ出身の当時の東関親方(元関脇・高見山)の東関部屋に所属し、1990年の春場所に初土俵を踏む。身長204㎝、200キロの巨体と長い手足から繰り出す強力な突き押しを武器に番付を上げていった。

　1992年の名古屋場所で大関昇進、1993年初場所の千秋楽で、当時関脇だった貴花田を破って幕内優勝を飾り横綱に昇進した。

　横綱昇進後は、続いて横綱に昇進した若貴兄弟、同郷のハワイ島出身で横綱になった武蔵丸と4横綱で平成の大相撲人気の立役者となった。

　横綱昇進後は両膝の故障、手術などで休場し苦しい時期を過ごすことがあったが、休場から2度の復活優勝をした際には相撲ファンに大きな感動を与えた。

　長年苦しんだ両膝の回復が見込めず2001年の初場所を全休し、横綱として満足な相撲をとることがでいないとして、場所後に相撲界を引退した。

　引退後は一時期東関部屋の部屋付き親方として後進の指導にあたっていたが、その後格闘家へ転身する。20１７年４月、福岡県内の試合後、体調不良を訴えて緊急搬送され、一命を取り留めたが長いリハビリ生活を送っていた。

　曙が現役で活躍した時代は、大横綱千代の富士がキャリアの終盤を迎え、北勝海や大乃国などの横綱も相次いで引退した。幕内最重量の小錦や、端正な顔立ちの寺尾など人気力士もいたが、横綱不在となり相撲界に活気が失われていた。そんな時に曙は一人横綱として相撲界を支えることとなる。

　そして若貴が兄弟横綱となり、若貴兄弟に率いられた二子山部屋力士達、同郷の横綱武蔵丸、佐渡ヶ嶽部屋の多くの幕内力士、豪快な塩まきの水戸泉、幕内最小兵で八艘飛びを披露した舞の海など人気力士が多数おり、平成の相撲ブームが巻き起こった。横綱曙はそんな時代の主役力士の一人であった。