※)あくまで投稿者の個人的な作品評価としてお読みください。
ビックコミックスピリッツで連載中の歴史漫画『新九郎、奔る!』の魅力について紹介します。
作者は漫画家のゆうきまさみさん。まずはゆうきまさみさんの主な連載作品を紹介します。
- 究極超人あ~る/学園コメディ
- 機動警察パトレイバー/ロボットアクション
- じゃじゃ馬グルーミン★UP!/青春・ラブコメ
- 鉄腕バーディー/SFアクション
- 白暮のクロニクル/サスペンスホラー
といった感じで、いろいろなジャンルの漫画を発表してきています。
そんなゆうきまさみさんが、2018年から執筆している自身初の歴史漫画が『新九郎、奔る!』です。
新九郎、奔る 序盤のあらすじ
応仁の乱が主に描かれる物語序盤のあらすじを簡単にまとめてみました。
主人公は伊勢新九朗、のちに北条早雲と呼ばれ戦国武将の先駆けと言われている人物です。
物語は文正元年(1466年)主人公伊勢千代丸(のちの新九郎)が11歳の時に始まります。
時の幕府の権力者で室町幕府政所執事伊勢守貞親を叔父にもち、備前守盛定を父にもつ千代丸は将軍家の跡継ぎ問題に絡む権力争いを目の当たりにしていきます。
そして始まる応仁の乱。元服し新九郎と名を改め自身も騒乱の中へ身を置きく中で、兄八郎の死を通して己の無力さを嘆くのである。
応仁の乱はなぜ分かりにくい
応仁の乱と言えば、畠山・斯波の家督争いと室町幕府の後継者争いに端を発し、山名宗全の西軍と細川勝元の東軍が京都各地で骨肉の争いを繰り広げ、その争いが畿内、畿内周辺と国中に飛び火してき、のちに戦国時代の幕開けとなる日本史でも一、二を争う内乱です。
その応仁の乱を分かりにくくしているポイントを挙げてみました。
- 主人公、ヒーローになる人物が不在
- 実際は激しい戦いだったのかもしないが、小競り合いが続いているように見えてしまう。源平合戦の壇ノ浦の闘いや、戦国時代の桶狭間などの誰もが知るような戦いがない。
- 勝者なく闘いが終結。
- 聞きなれない官職名や複雑な受領名。
新九郎、奔る ここが分かりやすい
物語のなかで応仁の乱が描かれるのは、単行本の1巻から3巻まで。その後は新九郎の領地経営や関東、駿河、伊豆へと舞台が移っていきます。
応仁の乱の全貌を詳細に描いているわけではないが、その単行本3巻までの応仁の乱の描写が入門編としてとても良い。その理由をまとめてみました。
・登場人物をわかりやすく紹介。キャラクターが登場するたびに、あまりなじみのなり当時の朝廷の官途名・受領名(伊勢守、備前守、掃部助、新左衛門尉など)、幕府の役職名(公方、関東管領など)、仮名(新九郎、太郎など)を読み仮名のルビ付きで載せている。
・山名宗全を豪放磊落な大人物、細川勝元を手段選ばない戦術家として新九郎と絡ませることで、読者の印象に残る様にしている。
・歴史イメージを崩さない軽妙なギャグ表現、脱力感のあるキャラ表現は、三谷幸喜氏脚本の大河ドラマを彷彿とさせる。
まとめ
北条早雲の半生を描く物語としても惹きつけるものがある本作であるが、応仁の乱に興味はあるが手が出せないでいた、手を出して挫折したことがある方には一読をお勧めしたい。
『新九郎、奔る』はビックコミックスピリッツで連載中。現在単行本15巻まで発売中(2024年3月現在)。
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