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井上尚弥PFP1に返り咲き クロフォード、ウシクの次戦しだいで変動も?

スポーツ

先日東京ドームでルイス・ネリとの世界バンタム級4団体王者防衛戦に勝利した井上尚弥が、世界で最も権威あるボクシング誌米専門誌「ザ・リング」の階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で一位に返り咲いた。

 PFPとは全17階級あるボクサーの実力を比較し、体重差がなかった場合の最強選手をランキング化したもの。海外メディアが各自で格付けしているが、リング誌のPFPが世界で最も価値がある指標とされている。

 井上は22年6月、ノニト・ドネア(フィリピン)とのバンタム級3団体王座統一戦に勝利し、日本人史上初のPFP一位に認定された。8月にオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)に抜かれて二位になった。

その後、テレンス・クロフォード(米国)がPFP一位に君臨していたが、今回のルイス・ネリ戦での勝利と試合数が評価されて、1年9ヵ月ぶりに一位に返り咲いた。

プロアマ通じて初ダウンもその後は圧倒しPFP1位に

 今回のネリ戦で1Rにプロ、アマ通じて公式戦で初のダウンを奪われた井上。(ちなみにこれまで非公式でも井上からダウンを奪ったのは父慎吾トレーナーだけ)接近戦での打ち合いの中でネリの右フックが当たり、唯一危惧していたパターンが現実となった。

2Rからはいつものボクシングスタイルを徐々に取り戻し、素早いステップインからのジャブがヒット、左フックでダウンを奪い返した。

 3R以降も右ストレート、ボディと上下のパンチが当たりだし、4Rに井上は相手から目線をそらし、真横を向いた状態で“来い、来い”と右拳で挑発。5Rにも左フックで再びダウンを奪い、6Rにはネリをロープ際に追い詰め右ストレートで衝撃のKO勝利となった。

 1Rにダウンを奪われたため、PFP1位はどうなるかと思ったが、2R以降は内容が衝撃的だったようで、見事PFP1も獲得した。

クロフォードはダウンしたことがあるの?

世界3階級制覇王者、史上初の2階級4団体統一王者のテレンス・クロフォードも公式にはダウンしたことはないが、19年にエギディウス・カバリアウスカス(リトアニア)とのWBO世界ウェルター級タイトルマッチでは疑惑のスリップ判定を受けている。

 3Rにエギディウス・カバリアウスカスの右ストレートを受けたクロフォードは寄りかかる様にクリンチ、そのままもつれる様に左足から倒れたが、スリップ判定となった。再開した直後もクロフォードの動きからはダメージを感じさせず、最終的に9RKO勝利となった。

ウシクは疑惑のローブロー判定

 元世界クルーザー級4団体統一王者、現世界ヘビー級3団体統一王者のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)もプロではダウンしたこがないが、23年8月に行われたWBA世界ヘビー級レギュラー王者ダニエル・デュボア(英)との試合では疑惑のローブロー判定を受けている。

 この試合でウシクは5回にデュボアからボディブローを受けてキャンパスに倒れるが、これがローブローの判定。5分間の休憩後に試合は再開、その後はウシクが試合のペースを握り9回TKOで勝利した。

 この判定は物議を醸しだしており、デュボアのプロモーターがレフェリーの判断ミスでありローブローではなかったとして、WBAに対して試合結果をノーコンテストに変更し、即時の再戦を命じるよう提訴した(提訴はWBAにより却下)。

 元WBC世界クルーザー級王者のトニー・ベリュ―(英国)はローブローを支持、元世界2階級王者のティモシー・ブラッドリー(米)、元4団体スーパーライト級統一王者のジョシュ・テイラー(英国)はローブローではなかったとする見解を示し、元世界王者やファンの中でも意見が分かれている。

PFPランキングの今後は?

クロフォードはスーパーウェルターに階級を上げ、8月24日(日本時間25日)にWBAスーパーウェルター級王者イスライル・マドリモフ(ウズベキスタン)に挑む。これに勝てば4階級制覇となる。

 井上尚弥はすでに4階級制覇を成し遂げているが、PFPランキングでは常に井上の一歩先を行っている感のあるクロフォードが4階級制覇となれば、1位を奪い返す可能性は充分あり得る。

ウシクは5月18日にサウジアラビアで、WBC世界ヘビー級王者のタイソン・フューリーと4団体王座統一戦を行う。元クルーザー級の4団体統一王者であったウシクは、この試合に勝利すると2階級4団体統一王者となる。しかも、フューリー相手に勝利し、クルーザー、ヘビーと重量級を制したとなるとPFP1位となる可能性も十分考えられる。

 井上は今回の勝利後のインタビューでサム・グッドマン(豪州)との試合に向けて交渉していくと宣言しており、早ければ秋ごろに次戦開催の可能性が出てきた。

 このままいくと、今年は「パウンド・フォー・パウンド」1位が激しく動くかもしれない。

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