先日「ザ・リング誌」が選ぶボクシング、パウンド・フォー・パウンド(pfp)ランキング最新版が発表された。
2024年8月3日(日本時間4日)に米・カリフォルニア州で行われたWBA世界S・ウェルター級タイトルマッチ。同級王者イスラエル・マドリモフにウェルター級3団体統一王者テレンス・クロフォードが挑戦し、3-0(116-112、115-113、115-113)の判定でクロフォードが勝利。4階級制覇に成功した後の発表とあって、ボクシングファンの中で注目されていた。
ザ・リング誌 パウンド・フォー・パウンド(pfp)ランキング最新版
- 1位 オレクサンドル・ウシク(ウクライナ) ヘビー級 22勝0敗0分け(14K.O)
- 2位 井上尚弥(日本) スーパーバンタム級 27勝0敗0分け(24K.O)
- 3位 テレンス・クロフォード(アメリカ) スーパーウェルター級 41勝0敗0分け(31K.O)
- 4位 サウル・❝カネロ❞・アルバレス(メキシコ) スーパーミドル級 61勝2敗2分け(39K.O)
- 5位 ジェシー・ロドリゲス(アメリカ) スーパーフライ級 20勝0敗0分け(13K.O)
- 6位 アルツール・ベテルビエフ(ロシア) ライトヘビー級 20勝0敗0分け(20K.O)
- 7位 ドミトリー・ビボル(ロシア) ライトヘビー級 23勝0敗0分け(12K.O)
- 8位 ガーボンダ・デービス(アメリカ) ライト級 30勝0敗0分け(28K.O)
- 9位 中谷潤人(日本) バンタム級 28勝0敗0分け(21K.O)
- 10位 デヴィン・ヘイニー(アメリカ) ライト級 31勝0敗0分け(15K.O)
上位の3名は1位ウシク、2位井上、3位クロフォードと入れ替えは無かった。
クロフォードはなぜpfp1位に返り咲けなかった?
史上初の2階級4団体統一王者のクロフォードが無敗のまま4階級制覇するという快挙を成し遂げた試合であったが、pfp1位返り咲きとならなかったのは、その試合内容の為であろう。
7ポンド(3.17kg)アップし臨んだタイトルマッチであったが、ウェートの壁を感じさせる試合内容であった。
簡潔にまとめると、クロフォードは鋭い右のジャブを的確に当て、相手の左目を腫れさせるほどであったが、相手の前進を止めたり、ダメージを与えるほどではなかった。
チャンピオンも右ストレートから入るいつものパターンでプレッシャーをかけてくが、クロフォードにうまくコントロールされて、決め手に欠ける感じであった。
クロフォードも決めて手欠けるボクシングであったが、それでも後半は相手にダメージの蓄積を感じさせており、体格で優るであろうマドリモフをコントールし勝利をもぎ取ったのはさすがと言ったところである。
3-0の判定勝利であったが、エロール・スペンスジュニア戦の様に試合を完璧にコントロールしたうえでのK.O勝利と比べると物足りなさは否めない。
今回の試合を見る限り、クロフォードが熱望している2階級上のカネロとの試合は、無理があるのではないか?
むしろ善戦したマドリモフの今後に期待したいし、クロフォードとのリマッチも面白いのではないかと思う。
pfpの今後を予想する
今回のクロフォードの勝利では変動しなかったpfp1位であるが、ランキングに影響を与えるで直近の試合は、9月3日に開催する世界スーパーバンタム級4団体統一世界王者防衛戦12回戦、井上尚弥(WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級王者)vs.テレンス・ジョン・ドヘニー(WBO世界スーパーバンタム級2位/アイルランド)だ。
ただし井上が圧倒的有利と言われているこの試合、格下と言われているドヘニー相手にセンセーショナルな勝利したとしても、pfp1位を奪取できるかは疑問である。
ウシクのヘビー、クルーザーの2階級4団体統一王者の実績に加えて、フューリーを破って獲得した1位を奪取することは難しいのではないかと思う。
対するウシクは12月にフューリーと再戦することが決まっており、これに勝利するとpfp1位の座も守ることになりそうだ。
pfpランキング今後の注目は?
日本人としてpfpランキングで注目すべき点は、2位の井上尚弥(スーパーバンタム級)、5位ジェシー・ロドリゲス(スーパーフライ級)、9位中谷潤人(バンタム級)と近い階級にpfpトップランカーの3人が揃っていることだろう。
フライ級、スーパーフライ級の2階級王者のロドリゲスであるが、身長164㎝リーチ170㎝と体格的にみても井上尚弥の身長165㎝リーチ171㎝とほぼ変わらない。
中谷潤人は身長170㎝リーチ172㎝と二人に比べると体格的に大きめで、今後階級アップしていくことを示唆しているが、この3人が無敗のままどこかで絡み合うことを想像するとワクワクしてくる。
アメリカ人記者にとっても、井上尚弥対ガーボンダ・デービスを煽るよりも、同じアメリカ人のジェシー・ロドリゲスとの対戦を盛り上げるほうが現実的ではないのだろうか?
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